JR西日本、視覚障害者案内にQRコード活用

JR西日本は大阪駅北側の「うめきた2期区域」で2023年開業予定の新駅に導入予定の視覚障害者向けナビゲーションシステム「shikAI (シカイ)」の有用性を検証することを8月17日に発表し、実証実験を重ね9月3日には新神戸駅で行った実証実験の様子を報道陣に公開しました。「shikAI (シカイ)」は東京の企業が開発したシステムで、駅構内の黄色い点字ブロックの中央に白黒のQRコードを貼り付け、利用者がスマートフォンの専用アプリで読み取ると「改札です。直進6メートル」「前方に上り階段です。18段上ります。」などの音声での案内が流れる仕組みで、参加者は右手に白杖、左手にスマートフォンを持ちながら、駅員の助けを借りずホームやトイレにたどりつきました。
東京メトロでは2年前から実験を行っていますが、関西での実験はJR西日本が初めてとなります。新神戸駅は地下鉄との乗り換えや階段の上り下りがあり、駅構内の利用客も多いため、アプリを開発する上での課題が揃っているとの理由で実験の舞台に選ばれました。
JR西日本は新駅のコンセプトを「誰もが自由に動ける駅」としており、視覚障害者のサポートにも力を入れるとのことで、2021年3月末まで実験を続け、参加者の声を聞いて導入するかどうかを決めるとのことです。

引用:JR西日本、視覚障害者案内にQRコード活用

─ YODOQの見方───────────────────────────

点字ブロックは視覚障害者の安全かつ快適な移動を支援するための設備として考案されたもので、進行方向を示す「誘導ブロック」(線状ブロック)と階段前や横断歩道、誘導ブロックが交差する分岐点、案内板や障害物の前に設置される「警告ブロック」があります。
しかし、点字ブロックはいわば通路の状態を表現しているだけで、改札口の位置やそこに至るまでの道順などの情報はなく、点字ブロックだけでは目的地に到達することはできません。通いなれた道で目的地に至るまでの道順が頭に入っていれば、点字ブロックをたどることで歩けるのかもしれませんが、初めての場所へ行く際は目的地の位置を把握することが必要です。このアプリを使うことで視覚障害者が目的地までの道順や距離を把握でき、一人で移動できることに達成感や喜びを感じられるのなら素晴らしいと思います。
グーグルでも2019年10月11日に、Googleマップに視覚障害者向けの音声ナビゲーション機能を追加したとの発表があり、iOS/Android版ともに同日より利用可能となっています。以前は目が見える前提での音声案内がメインでしたが、今回の機能では目的地までの徒歩ルートで交差点までのおおよその距離や歩いている通りの名前や方向を教えることで不安を取り除けるような詳細なナビゲーションを提供しています。
視覚障害者の方が便利に使えるアプリだけでなく、聴覚障害者の方向けのアプリなども色々と開発されているようです。
視覚障害者にとって駅のホームを歩くことは危険を伴います。点字ブロック自体がホーム側に設置されていることで、視覚障害者が誤って線路に転落する事故も後を絶ちません。そうした事故を防ぐためもあり、大阪メトロではホーム柵を設置する駅が増えてきています。
アプリなどを使うナビゲーションシステムとホーム柵などの物理的な対策で視覚障害者のみなさんが安全に公共交通機関を利用できるようになればいいと思います。ただ、一人でできることは素晴らしいとは思いますが、気兼ねすることなく他人に助けを求められる世の中であってほしいとも思います。
駅を利用する時の多くは、限られた時間での移動で周りに注意を払う余裕もなく見過ごしていることもあると思いますが、他人に手を差し伸べられる心の豊かさを大事にしたいと改めて思いました。

参考:視覚障害者に“安心できる移動”を–Googleマップ、ルートを詳細に音声案内する新機能
参考:東京都障害者IT地域支援センター

update : 2020/10/09 | スマートフォン, ソフトウェア