あのフォント「ヒラギノ」実は京都の地名 iPhone

iPhoneやiPadに京都の地名「柊野」に由来した「ヒラギノ」というフォントが使われているのをご存知ですか。ヒラギノは精密機器メーカーSCREENホールディングス(京都市)の子会社、SCREENグラフィックソリューションズが新たな組み版システムに対応するため開発し、1993年に発売しました。特徴は、1文字の濃度を均一にし、1画ごとの余白が均等に見えることなど、文字が小さくなっても読みやすい工夫がされていることで、コンセプトは「クールで現代的なデザイン」だそうです。2000年には米アップル社のMacOSX(テン)に日本語フォントとして標準搭載されました。
近年、カタログなどでもデザインにこだわる傾向が強まってきており、中国語と日本語で統一したフォントや高品質な書体が求められているようで、今夏には米国の流通大手が全社的に使うフォントとしてヒラギノが採用されました。このように海外でのニーズの高まりから昨年末には、世界中にユーザーがいるフォントのオンラインストア「MYFONTS」を運営する企業とも業務提携を結び、海外販売の強化に乗り出しています。
また、国内でも都ホテルズ&リゾーツや象印マホービン、高速道路の案内標識、道路の案内板として採用されています。

引用:https://www.asahi.com/articles/ASM9N4K7ZM9NPLFA003.html

─ YODOQの見方───────────────────────────

アルファベットという文字数が限られた欧文フォントとは違い、日本語フォントを設計する場合、文字が漢字・ひらがな・カタカナ・英数字・記号と多岐に渡るため労力が格段に上がります。それでも、工夫をこらしたフォントを販売する企業はSCREENグラフィックソリューションズだけでなく、モリサワや凸版印刷など日本でも数多く存在します。
また、フォントの使用に際して使用許諾契約が必要なく、ライセンスで無償使用を許可しているフリーフォントと呼ばれるものもあります。このフリーフォントは自由に利用できるものもあれば、商用利用の場合は制作者の記載が必要など、それぞれに規約を設けている場合があり、使用に際しては注意が必要です。こういったフリーフォントを検索できるWEBサイト「FONT BEAR」があることや、自分でフォントを作成できるWEBサイトがあることでもフォントへの関心の高さが伺えます。

参考:https://fontbear.net/
参考:https://www.calligraphr.com/en/

また、奈良県生駒市はモリサワの「UD(ユニバーサルデザイン)フォント」を市内の小中学校全校に導入しています。UDフォントは文字の形がわかりやすく誤読が少ないとされ、生駒市とモリサワが共同実施した小学生対象のテストでも正答率が上がる効果が確認され、一般的な書体と比べると回答スピードも速くなったそうです。UDフォントは学習障害や発達障害の子どもにも読みやすいとの理由で養護学校で導入されるケースもあります。

参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43538010Z00C19A4LKA000/

WEBサイトは情報を発信するツールでもありますが、言葉自体の意味や文章力だけで伝えるのではなく、見た目から受けるイメージも大切にすべきものの一つです。しかし、学習障害や発達障害の子どもにも読みやすいフォントがあり、実用的な効果から養護学校で導入されるケースがあることからも、フォントはおしゃれだとかかっこいいだとかの見た目やイメージだけで選ぶものではなく、文字本来の役割である「伝える」ことを重視した読みやすさ
も重要な点だと改めて考えさせられました。

update : 2019/10/09 | ネットサービス